31 付録: タイミング特性

音声認識やDTMF認識に対する様々なタイミング特性は、ともにユーザ体験を定義する。これらの違うタイミングパラメータが作用する方法は、以下のタイミングダイアグラムで概説する。このダイアグラムでは、DTMF入力待ちやユーザ発話待ちは、ともに最後のプロンプトが再生し終わった時に開始される。

31.1 DTMF文法

DTMF文法はユーザ体験に合わせて、タイムアウト、interdigitタイムアウト、条件タイムアウト、条件集合を使用する。これらの効果は以下のタイミングダイアグラムで示す。

31.1.1 入力無しのときのタイムアウト

タイムアウトパラメータは、ユーザがDTMF入力に失敗しているときに<noinput>イベントを投げるタイミングを決定する。(図5)

Figure  31.1 タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(入力無しのとき)
Figure 31.1 タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(入力無しのとき)

31.1.2 対話終了のための文法が用意されていないときのinterdigitタイムアウト

interdigitタイムアウトは、ユーザが追加DTMF入力に失敗したりDTMF文法が認識されなかったときにnomatchイベントを投げるタイミングを決定する。(図6)

Figure  31.2 interdigitタイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了のための文法が用意されなかったとき)
Figure 31.2 interdigitタイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了のための文法が用意されなかったとき)

31.1.3 対話終了のための文法が用意されているときのinterdigitタイムアウト

以下の例は、追加のDTMF入力により対話の続行・終了が可能なDTMF文法があるときに、ユーザが追加入力を拒否したような状況である。(図7)

Figure  31.3 interdigitタイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了のための文法が用意されているとき)
Figure 31.3 interdigitタイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了のための文法が用意されているとき)

31.1.4 対話終了可能な文法のときの条件集合とinterdigitタイムアウト

以下の例では、条件集合は空ではなく、interdigitタイムアウトが終了する前にユーザにより入力されている。つまり、ユーザDTMF入力の完了を意味する。ここで、条件集合は認識値の一部として含まれない。(図8)

Figure  31.4 条件集合とinterdigitタイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了可能な文法のとき)
Figure 31.4 条件集合とinterdigitタイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了可能な文法のとき)

31.1.5 対話終了しなければならない文法のときに条件集合が空である

以下の例では、最後のDTMF入力が追加DTMFを見込めないような対話終了点に文法を導いている。条件集合は空なので、適当な省略可能な終了記号は無い。従って認識は終了し、認識値が返される。(図9)

Figure  31.5 条件集合に対するタイミングダイアグラム(対話終了しなければならない文法のときに条件集合が空)
Figure 31.5 条件集合に対するタイミングダイアグラム(対話終了しなければならない文法のときに条件集合が空)

31.1.6 対話終了しなければならない文法のときの空でない条件集合と条件タイムアウト

以下の例では、最後のDTMF入力が文法で許された追加DTMFがないような対話終了点に文法を導いている。もし条件集合が空でなければ、ユーザは省略可能な条件集合DTMFを入力できる。もし条件タイムアウト内にこの省略可能なDTMFを入力できなかったら、認識は終了し認識値が返される。もし条件タイムアウトが0秒(デフォルト値)ならば、省略可能な条件集合を待つことなく、文法で許された最後のDTMFの直後に認識値が返される。(図10)

Figure  31.6 空でない条件集合と条件タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了しなければならない文法のとき)
Figure 31.6 空でない条件集合と条件タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(対話終了しなければならない文法のとき)

31.1.7 対話終了しなければならない文法のときの空でない条件集合と条件タイムアウト

この最後のDTMFの例では、最後のDTMF入力が文法で許された追加DTMFがないような対話終了点に文法を導いている。条件集合は空でないので、条件タイムアウト内でのユーザによる省略可能な条件集合の入力によって認識値が返される(条件集合を除いて)。(図11)

Figure  31.7 空でない条件集合に対するタイミングダイアグラム(対話終了しなければならない文法のとき)
Figure 31.7 空でない条件集合に対するタイミングダイアグラム(対話終了しなければならない文法のとき)

31.2 音声認識文法

音声認識文法はユーザ体験に合わせて、タイムアウト、完全タイムアウト、不完全タイムアウトを使用する。これらの効果を以下のタイミングダイアグラムで示す。

31.2.1 発話がないときのタイムアウト

以下に示す例では、タイムアウトパラメータは、ユーザが発話に失敗したときにnoinputイベントを投げるタイミングを決定する。(図12)

Figure  31.8 タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(発話がないとき)
Figure 31.8 タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(発話がないとき)

31.2.2 音声認識文法が認識されたときの完全タイムアウト

上の示す例で、ユーザが音声認識文法に合った発話をしたとする。その後発話がないまま完全タイムアウトが経過すると、認識値が返される。(図13)

Figure  31.9 完全タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(音声対話文法が認識されたとき)
Figure 31.9 完全タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(音声対話文法が認識されたとき)

31.2.3 音声認識文法が認識されなかったときの不完全タイムアウト

上に示す例で、ユーザが音声認識文法には合わないが合法発話の接頭辞となる発話をしたとする。その後発話がないまま不完全タイムアウトが経過すると、nomatchイベントが投げられる。(図14)

Figure  31.10 不完全タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(音声対話文法が認識されなかったとき)
Figure 31.10 不完全タイムアウトに対するタイミングダイアグラム(音声対話文法が認識されなかったとき)